魔法の自販機

起:NANAKO(中2)

 とある一筋の光が導くように照らす真夜中。突如現れたのは自動販売機。何か空からやってくると思った太郎は立ち尽くしていた。ちなみに太郎は偶然そこに居合わせた不運なやつだ。

承:NOZOMI(中2)

 この自動販売機はどの駅のホームにもおいてあるような一般的な形。しかし自動販売機の中には小さな箱が並んでいるだけで商品名も書いてないので何が売っているのかわからない。太郎は少し怖くなり鳥肌が立ってきた。すると、ピカッと自動販売機のボタンが光った。それとともにクレーンゲームについているようなキャッチャーが出てきて一つずつ箱のなかの物体を取っていった。おそるおそる小さな物体を見るとなんと太郎の好きな車のおもちゃが出てきた。太郎の鳥肌はどんどん消えてきて、やがて微笑みが出てきた。

転:AYANE(中1)

 やがて家に帰り親にその自動販売機のことを話した。そうしたら
「万引きじゃないの!元の場所に戻してきなさい!」
 と怒られてしまった。
 親に言われたとおりに自動販売機が落ちてきた場所に戻ったらそこにはなにもなかったのだ。おかしいなと思って周りをいくら見渡しても自動販売機はなかった…。そして車のおもちゃを取り出そうとしたらポケットに入っていたはずのおもちゃもなかったのだ。焦って元来た道を探しても見つからなかった。

結 HIDEHIRO(中2)

 結局その後も探しても、自販機もあのおもちゃも見つかることはなかった。太郎は諦めなかった。が、それでもあの自販機は見つかることはやはりなかった。そうして何年も何年も探し続け、ついに太郎も諦めかけたその日だった。太郎が道を歩いているとあの自販機がなんと太郎の家の前に現れたのだった。太郎は喜び、その自販機に駆け寄った。しかしその自販機は前より少し錆びており、どこか不気味な見た目になっていた。あの日のようにキャッチャーが降りてきて箱を一つとり取り出し口に落とした。太郎は喜んで取り出し口に手を入れ中の箱を開けた。そして背筋が凍りついた。そこには紛れもない自分がいたのだ。すると次の瞬間太郎の体が箱に吸い込まれていってしまったのだ。そしてその自販機は音もなく消えていった。それ以来太郎の姿を見たものはいない。



「自動販売機」をテーマに書かれたリレー作文です。

 主人公の好きな車のおもちゃが出てきたあたりでは、なんとなく楽しい物語になるのではないかと思ったのに、終わってみれば恐ろしい結末!というギャップが授業では好評でした。
 しかし実は、起の部分で既に「太郎は…不運なやつ」と方向性は示されており、転と結でその伏線をきちんと回収したのだと考えることもできます。また、承は物語を一旦穏やかに見せることで、転と結がバッドエンドに向かうのを効果的にする役割を果たしてくれています。
 つまり4人がそれぞれの役割を上手に果たしてくれた結果のギャップだったのです。
 一人で書く時以上に物語の流れに敏感になり、方向性を考えながら書く経験ができるのも、リレー作文の良いところの一つです。

 ところでこの物語、個人的には幼い頃に観たTV番組「ウルトラQ」を思い出して、ゾクっとしました。もっともウルトラQなどと言っても、知っている生徒はいるわけもなく、ジェネレーションギャップの大きさにもゾクっとしました。余計なこと言うんじゃなかった…

塾長

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