炭酸をグラスに注いだとき

HITOMI(高2)

 真夏の暑い日は家に帰って手を洗ったら真っ先に冷蔵庫へ向かう。冷蔵庫を開けたら迷わずジュースとソーダを取り出す。ある日、これらを大量の氷の入ったグラスに注いだら、
「シュワー」
という音がした。いつもはこの音に気づいていなかったが、今日は家に誰もいないせいかよく聞こえる。
(この音好きだなぁ)
 この音を聞いていると自然に体感温度が下がるようで涼しくなる。グラスに耳を近づけてしばらくこの音を楽しんだ後、ごくごくと炭酸飲料を飲んだ。味はいつも通り美味しい。ジュースのソーダ割りが暑い夏にはたまらないのだ。でも、やっぱり音が聞きたくて、飲んでは聞いて、を繰り返していた。

 それから二週間ぐらい、「シュワー」というこの音が聞きたくて炭酸飲料を一日に数回飲み続けた。そしたら、やっぱりぶくぶくと太った。
 炭酸を飲むことで、好きな音を聞けるのは良いが、それを続けていると大変なことになるので注意しないといけない。


 音をテーマにした作文でしたが、単に音の話でなく、炭酸と夏のイメージを合わせて書いたところにセンスの良さを感じました。

 自分も同じようなことをしていたなぁと思いながら読んでいると、シュワーという音が耳の奥で聞こえた気がしました。さらには、それに続いて、かき氷をかく音、花火の音、風鈴の音など、僕の中にあるたくさんの夏にまつわる音が蘇ってきました。五感を伴う記憶は、忘れているようでも何かをきっかけに鮮明に蘇るものです。僕にとっては、まさにそのきっかけになったようで、とても印象に残る作文でした。

塾長

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