一年後成功するために 

HITOMI(高2)

「ごちそうさまでした!」
 お正月らしい朝食を楽しんで、エネルギーをつけた。ゆっくりする間もなく、直ちに歯磨きをし、洋服に着替え、道具をそろえて向かった先は勉強部屋。

 午前九時、学習に着手する。今年初めての勉強。気持ちも新たに手を動かす。今年二〇二三年は、受験生になる年でもあり、気合が入る。でも、それよりも、年明け早々学習を開始しなければならない理由がある。二週間ぐらい前に受けた大事な試験で大失敗してしまったからだ。

 そのテストの結果で、高三の一年間のクラスが決まってしまうのだ。まだ結果は分からないが、いつもの私だったら絶対にしないようなミスをいくつも犯したのは確実だ。試験の三か月くらい前から、いろんなことを我慢して、死ぬ気で勉強した。試験後の数日間は、あれだけ努力したのにという悔しさと、私はいくら努力しても報われないのかという虚無感に襲われて何もできなかった。

 しかし、今の私は違う。完全に気持ちを切り替えた。高三で下のクラスだったとしても、入試に合格すればいいのだと。本番まであと一年あるし、あと一年しかない。落ち込んでいる暇なんてない。この一年、絶対に手を抜かずに、誰よりも努力すると決めた。

 今になって考えると、試験前の三か月間は確かに「勉強」をしていたが、そのやり方を間違えていたと思う。闇雲に量をこなすだけではダメ。一度間違えた問題を二度と間違えないようにしないと。着実に、そして丁寧にを意識した学習を始めた。




「今年の初めて」というテーマで書かれた作文です。

 ああ、これはちょっと格好良いなぁ、というのが第一印象でした。堂々と勉強するというのは当たり前のことなのかもしれませんが、僕はそういう風には若い時代を過ごせなかったので。自分を貫いて、何かする人、憧れます。

 一方で、誰もがそういうふうに物事を考えたり、目標に向けて進んでいったりできるわけではないのも仕方のないことです。人それぞれの生き方や、向き不向きもありますから。でも、たとえ自分ができないとしても、誰かが本気で努力したり頑張っているのを笑う人にはならないでほしいと思います。

 我が身を振り返れば、負け惜しみや嫉妬心から、一生懸命やっている人を少し小馬鹿にしてしまった経験があります。そして後からすごく自分のことが嫌だなと思ったものです、頑張れないだけでなく人の頑張りを認められない自分のことを。生徒の皆には、自分自身のためにも、誰かの頑張りには拍手できる人でいて欲しいと願います。

 さて、書き方に目を向けると、分かりやすい構成で、年末からこの日の勉強までの出来事を説明しながら、主人公の心のありようの変化・成長をも織り込むことができています。今の時期だからこそ感じる「本番まであと一年あるし、あと一年しかない。」という言葉も胸に響きました。

塾長

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