今年の正月

NOZOMI(中1)

  「今年はコロナだから、おばあちゃんに会えなかったね。」
  私は姉に俯きながら言った。 姉は
「そうだね。仕方がないよね。おばあちゃんを守るためには。」
  と言った。本当は、おばあちゃんに会いたかった。例年の正月のように。おばあちゃんも私に会いたいと言っていた。去年から一人で生活することになったおばあちゃんは寂しいだろう。しかし、姉の言うようにおばあちゃんを守るためにもまだ会わない方を選んで良かったと思う。
 姉は前向きに言った。
「会わないにしてもメールや手紙で会いたかったっていう、気持ちを伝えてみることにしたら?気持ちを伝えられるだけでもおばあちゃんは安心するんじゃないかな?」
 そうだ。そのとおりだ。今の気持ちをメールで伝えてみよう。メールの最後にはまた会おう、と書こうかな。さっそく充電器から携帯を抜いた。


  コロナによって世界中の人々の生活が激変してしまった影響は、もちろん日本の年末年始にも及び、多くの人が離れて暮らす大切な人との貴重な時間を奪われてしまいました。そんな中にあっても、誰かを思い、自然に優しい気持ちになれる作者の心の動きと彼女に前向きな言葉をかけるご家族との関係性には救われた思いがしました。今の状況下でもちゃんと心は育っていて、それを言葉にすることができるって素敵なことですね。読んでいる僕も勇気をいただきました。

塾長

©︎UEDA学習塾

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