忘れ物の鬼
REONA(小6)
「REONAさん、今日も宿題忘れたんですか?いつになったら出すんですか?」
「あの…。実は私はヤギを飼っていてそのヤギに食べられてしまったんです。」
思わず下を向く。いつもこんな調子だ。今日はさすがに先生爆発するかもしれない。気まずい沈黙。なんだか暑くなってきた。思わず上を向くと、先生はぷっと吹き出した。
「それじゃ今度はREONAさんのヤギの写真を見せてね。」
そう言って先生は教室を後にした。(ああ、よかった。)私は心の底から思った。
次の授業は国語だ。準備していたら、となりの席の友達が話しかけてきた。
「REONAさん、どんなペン持ってきたの?」
「なんのペン?」
「持ってきてるでしょ?ほら、先生が昨日、明日は卒業文集の清書するから黒いペンを必ず持ってきてくださいって。聞いてなかった?」
冷や汗が出て、その場に立ち尽くした。
「持ってきてない。」
私は低い声で言った。
「え?それまずいよ。REONAさん今日宿題も忘れたんでしょ?やばくない?」
「うん。やばいよね。」
「まあ、REONAさんたぶん忘れてると思ったから一応二本持ってきたけどね。」
「え?本当?ありがとう。今度恩返しする。」
私は忘れ物の鬼だ。
さて、忘れ物ばかりしてしまう主人公ですが、どこか憎めない雰囲気があります。それは文章を通して、主人公が周りの人々に愛されていることが伝わってくるからでしょう。
「宿題はやったけれどヤギに食べられてしまった」というめちゃくちゃな言い訳をする主人公を注意しながらも笑ってしまう先生、主人公が忘れ物をすることを予想して彼女の分のペンまで用意してくれている友人。どちらも主人公のことを理解し、応援してくれている様子がよく伝わってきます。
作文に慣れない段階では、主人公である自分のことばかり書いてしまいがちですが、REONAさんは脇役を上手に描くことで主人公の魅力を浮き上がらせることに成功しています。この書き方は、多くの人の参考になるものだと思います。
塾長