目ざめ
YUI(小5)
パチッ。僕は目がさめた。
「むにゃ。」
あたりを見回す。雪はなく、地面が見える。
僕は歩く。おなかがへったから。ドスドス足音がひびく。
一本の木を見る。うぐいすがとまっている。梅の木だ。
ドスドス歩く。くだものをさがす。見つからない。
スイスイ木にのぼる。ありそうな所を見つけた。

さくさく進む。ドンドンと走る。とまる。
見つけた。量は少ししかないけどよかった。
「グワー。」
さけぶ。楽しいな。
「ワー。」
のどがかわいた。帰ろうか。

「グワー。」
おどろいた。これはあいつの食べ物か、おいて逃げるか。
ドスドスドスいきおいよく走る。ドンと飛ぶ。あいつもドスドス走る。僕も急いで走る。ドンドンと走る。

どんどん見えてくる。自分の巣穴が、見えてくる。
すべりこむ、巣穴に。せっかくだからくだものを分けてあげよう。
「ワー。」
どうぞ、と言う。
「グ、ワー。」
ありがとうと言っている。
もうみんな目ざめたようだ。あたたかい風がふいている。
もう春か、僕はそう言った。

解説
(課題)
あなたは冬のあいだずっと眠っていました。ある日、目を覚ますと、もう春になっています。 外に出てみると、 冬のときとは違うことがたくさん起きています。 春になって変わったことを三つ見つけて、 その日の出来事を書いてください。
この文章は上の課題について書かれた創作です。
この作品の中で、実はクマという言葉は出てきません。それなのに主人公が動き出すと、自然とクマと気付かされます。
それはドスドスという足音だったり、グワーという叫び声だったり。
その動きや様子だけで、それがクマだとわかる書き方になっているのです。
そして、クマだと分かった頃にはいくつもの可愛らしい映像が頭に浮かんでいました。
個人的に好きなのは、
「グワー。」
さけぶ。楽しいな。
「ワー。」
のどがかわいた。帰ろうか。
の辺りです。春の訪れを主人公が全身で歓び楽しんでいる姿が可愛らしいのです。
また、作者のメッセージが感じられる場面もありました。
主人公が「せっかくだからくだものを分けてあげよう。」と言い、
仲間が「グ、ワー。」ありがとうと答える場面です。
この場面があったことで、ただエサを探して逃げて終わるだけの話ではなく、
物語に優しさが加わりました。
全編通して、
オノマトペと短い文で作られた軽快なリズム感、
主人公の持つ明るいキャラクターなど、
実はたくさんの工夫が自然に盛り込まれていて、絵本を読んでいる時のような優しい気持ちにさせてくれます。
いっそ、このまま絵本になってしまえ!と思い、予定にはない挿絵を加えさせてもらいました。
素敵な春の物語でした。
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塾長 上田
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