君のプレゼント
AN(中1)

僕は、サンタさんに、友達が欲しいと願った。僕には、友達がいなかったからだ。誰かと話したくても、誰も話しかけてくれなくて、僕を気味悪がっている。なぜなら、僕は、あまり人が好きじゃないから。だから、僕は、なんでも話せる友達が欲しかった。

ある日僕は、気分転換に、外へ出た。外に出ると、雪が降っていた。顔に雪が落ちてきて、冷たく感じた。すると、赤い手袋が目に入った。僕は、その手袋を拾い、持ち主を探そうとした。僕は、雪の中を彷徨い続けた。

すると、一人の子が話しかけてきた。
「あの、その手袋……」
手袋について問いかけてきた。
「あ、君の?」
「そうだよ!」
「落ちてたから、はい、どうぞ」
「ありがとう!」
「じゃあ、これで、」
僕は、家に帰ろうと思った。
「あのっ、!」
彼は、僕に話しかけた。
「ほんとにありがとうございました!これ、大切なものだったんで!」
「良かったです!」
僕は、拾って良かったと思った。きっと、この手袋は、彼にとってとても大切なものだったんだろう。僕は明るい気持ちで家に帰って行った。

家に帰ると、お父さんが、
「今日は、お前に紹介したい子がいるんだ!年下だけど、仲良くなれるはずだよ!」
と、言ってきた。僕は、仲良くなれるか不安だった。
「じゃあ、ちょっと待ってろ!呼んでくるから!」
「……うん」
僕は、あまり乗り気ではなかった。いままで、仲良くなれる人はいなかったからだ。
「ほら、この子だよ!」
お父さんが言った。僕は目を見開いた。
『あ!さっきの!』
僕たちは、いっせいに声を上げた。
「知り合いか?ならよかったよ!」
「さっきはありがとうございます!」
「良かったよ!見つかって!」
「あの、僕は、友達がいないんだ、だからその、」
「君と友達になりたい!」
そうして、僕は、初めての友達ができた。
解説
「あまり人が好きじゃない」と感じながらも、「なんでも話せる友達が欲しい」と願う主人公。
この物語は、そんな矛盾した気持ちを抱えた心から始まります。
主人公は、人付き合いが得意ではありません。
けれど、道に落ちていた赤い手袋を拾い、その持ち主を探そうとする――
その行動から、彼が「誰かのために動ける優しさ」を持っていることが伝わってきます。
人と関わることは、ときにとても怖いものです。
ほんの一言、ほんの一瞬の出来事で、距離が生まれてしまうこともある。
けれどその一方で、ほんの小さなきっかけが、関係をつなぐこともあります。
この物語では、その“きっかけ”として、赤い手袋が使われています。
手袋に導かれるように出会った二人は、他人だからこそ、素直に親切を交わすことができました。
相手が喜ぶ姿を見て、主人公の心も少し明るくなっていきます。
そして再会の場面――
『あ!さっきの!』と二人が声を上げる瞬間は、この物語で最も幸福な場面でしょう。
それは、主人公が初めて“友達になる一歩”を踏み出した瞬間でもあります。
サンタクロースのプレゼントは、もしかするとこの出会いそのものだったのかもしれません。
願いは、物やお金の形で届くとは限らない。
人と人がつながる、ほんの小さなきっかけこそが、いちばん大切な贈り物なのだと、あらためて気づかせてくれる物語です。
塾長
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