固い握手

HIDEHIRO(高1)

クリスマスの物語2


今日はクリスマス。ある家の男の子は、街の夜を照らす街灯とそれに反射する小さな雪を見ていました。
「少しくらい外に出ても怒られないよね」
男の子は雪の街を少し歩くことにしました。

クリスマスの物語1


少し歩くと道に大きく真っ赤な手袋が落ちていました。男の子はそれを拾って考えます。こんな寒さの中、手袋も無しに歩けないよ。きっと持ち主は困っている。急いで届けなくっちゃ。男の子は街の中心に向かいます。

クリスマスの物語3

街は明るく、どのお店も賑やかにクリスマスを祝っています。男の子が景色に見惚れていると、後ろから誰かに声をかけられます。

「もしもし、その手袋どこで拾ったんですか?」

男の子が振り返ると、そこには自分よりも小さなエルフがいました。男の子は答えます。

「さっき家の近くで拾ったんだ。」

エルフはいいます。

「それは僕たちの上司サンタさんの物だよ。彼はその手袋がなくて今夜、プレゼント配れないかもしれないんだ。お願いだから返してくれないか?」

男の子は素直に手袋をエルフに渡しました。エルフは手袋を受け取ると、街の路地裏へと消えていきました。

クリスマスの物語4

その夜、男の子が寝ていると肩を叩かれました。

「エルフから聞いたよ君が手袋を見つけてくれたんだって?君のおかげで今全ての子供にプレゼントを配り終わったんだ。君にはどうしても直接感謝を伝えたくてね。本当にありがとう。」

男の子はお礼に二倍のプレゼントと硬い握手をしてもらいました。その手は男の子の見つけた手袋のおかげで、とても温かかったのでした。

解説

4枚のイラストを元に物語を作るという課題。もちろんクリスマスを意識して書いてもらいました。絵の順番は自由に変えて良いルールのもと、絵本の原作を書くように、あたたかい物語を創ってくれました。

主人公の男の子の行動の原動力になっているのは、
好奇心だけではなく、困っている誰かのために動こうとする優しさです。
だからこそ、小さなエルフとのやりとりも、とても自然に感じられます。

エルフ、そしてその上司としてのサンタという登場人物の設定を
はっきりさせたことも、物語の流れを読者が素直に受け入れるために
大きな役割を果たしています。


サンタさんが子どもに直接声をかける展開は、
一見するとクリスマス物語のセオリーから外れているようにも思えます。

しかし、最後の一文で、その違和感はすっと消えていきます。
握手という行為があったからこそ、
男の子の行動の価値が、体温として伝わってくるのです。

「その手は男の子の見つけた手袋のおかげで、とても温かかったのでした。」

この一文を読んだとき、物語のすべてが見事に収束したように感じました。
クリスマスの夜に読みたくなる、静かで、そしてとても温かい結末です。

塾長

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