天使の朝食
MIZUKI(高1)
しゃもじで笹葺き色の土鍋から、湯気が立ち昇る炊きたてのご飯を茶わんによそう。米は一つ一つ艶がかっていて、まるで真珠のようだった。
そして冷蔵庫から卵を出す。
コン
テーブルに卵が当たる。少しヒビが入る。さらにもう一回卵をテーブルに当てる。
ピシッ
少し透明でドロっとした液体がこぼれ出した。それをできるだけ落とさないように素早く湯気の立つ茶わんの上に移動させる。
パカッ
まるでこの一瞬を待っていたかのような高揚感に包まれ、白く光り輝いている大地に太陽が降りた。太陽と一緒に天使の羽衣のように透き通った白身が純白の大地に降り注ぐ。
少しご飯が熱いのか透明な白身が白みを帯びてきた。急いで冷蔵庫から醤油を取り出してかける。
太陽が降りた透き通る大地に一つの小さな小川ができた。

解説
「殻を破る」という言葉から思うことを自由に書く、という課題に対して書かれた作品。
視覚・聴覚からの情報量が多くて、その情報の密度というか解像度が高い。 冒頭から「笹葺き色の土鍋」「湯気が立ち昇る」「米は一つ一つ艶がかっていてまるで真珠のよう」と僕の脳みその映像を司る部分を刺激してくる。
さらに「コン」「ピシッ」「パカッ」と卵の殻の音が、冷蔵庫から卵が出されて、ご飯にかけられるまでの場面を切り替える合図になっている。この音があるからこそ卵に「ヒビが入り」「ドロっとした液体がこぼれ出して」「純白の大地に降り注ぐ」——それぞれの瞬間がハイライトのように際立つ。
まるで地球の大地の成り立ちを、神の目線で見ているようだ。そして白米と卵と醤油の共演が、何か特別な至高の卵がけご飯を表すようで、読後すぐにでも卵がけご飯を食べたくなってしまった。一言も美味しいとは書かれていないのに、その美味しさを想像させる描写だ。
対面授業の頃だったら、この作文を音読する日に合わせて、教室に電子ジャーを持ち込んで(土鍋もガスも使えないので)、皆で炊き立てご飯に卵をかけて食べていたかもしれない。文章を読みながら、映像が浮かぶだけでなく、食欲まで刺激されるとは。
夕食前の授業には罪作りな一篇であった。見事。
塾長
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