ドンドン、リーリー
SAHO(小6)
バーンバーン
ドンドン
「すごい迫力だー。」
「お金はらってまで座ってよかった。」
「ねー。」
「あっ見て、めちゃくちゃきれい。」
「本当だ、川の水に映っていいね。」
「ちょっとうるさいわ。」
バンバン
ドンドン
パチパチ
「うわっまぶしっ。」
「それではクライマックスです。」
ドンドン
シャッシャッ
ワーワー
サーサービュー
ヘックション…寒っ。
「これで第五十七回花火大会を終了します。後ろの席の方からご退場ください。」
「えー、私たち真ん中だからちょっと時間かかるね。」
「あー、二時間みてて、お腹空いてるからマックよらない?」
「そうだね、もう九時だし急ごっか。」
「うん、混じゃうかもだし。」
「モバイルで注文するわ!」
「オケ!じゃあ私チーズバーガーセットで。」
「うちも、あとピクルスぬきで…。」
「え!さほピクルスきらいなの?」
「うんなんか酸っぱい?のが苦手なの。」
「…よしっ注文できた。」
「じゃあ何円?」
「一人千百円かな。」
「はいどーぞー。」
「じゃあいこっか。」
リーンリーン
ピーピー
リーリー
コロコロ
リィリィリィ
さっきとちがって優しい音。
「ねぇねぇ十時までだって。」
「今何時?」
「今は九時…半。」
「やばいじゃん、いそごいそご。」
トコトコ
リーリー
タッタッ
リーリー
ヒューヒュ
…ヘックション…風がっ。
「あぶねついたー。」
「あーお腹すいた。」
「すみませんコード…。」
「はいどーぞ。」
パクパク。
モグモグ。
パリッパリッ
「みんな楽しかったね~」
「うんじゃあまた今度ね!」
トコトコ・・・
はあ、楽しかったのはいいけどマック高くなったな。
「音をテーマに物語を作ってください」というテーマに対する作文です。
SAHOさんは花火大会に行った経験をもとに、想像も交えてこの作文を書いてくれました。
オノマトペを題材にした授業をした後だったこともあり、いくつかの場面では説明を省き、代わりに音だけを使って描写しています。中でもタイトルにもあるドンドンと響く花火大会とリーリーと虫の音が聞こえる夜道の描写は印象的です。花火の大音量の後だからこそ、いつも以上に耳に優しく響くであろう虫の音を後半に持ってきたのは、音をテーマにした作文でなかったとしてもとても素敵な場面で、僕も自分の記憶の中にある夏から秋にかけて聞こえる夜の虫たちの音を思い出しました。
また、それほど素敵な作文なのに、最後の一文で現実に引き戻されるのも面白くて、いつも何かしらのオチを用意する作者のSAHOさんらしさが感じられました。
塾長