半径八メートルの陣 MIZUKI(小6)

 「絶対勝つぞー!オー!」
 ぼくと友達の異常な気合には、理由がある。ぼくらは、この城取り合戦の棒倒しで勝つために、つらい練習を重ねてきた。今日、勝たねば、ぼくらの努力は水 のあわだ。
 城取り合戦とは、五、六年生合同で行う競技で、男子は棒倒し、女子は騎馬戦に出る。棒倒しには、心棒という棒を支える人、守りという心棒の周りで棒を支 える人、攻めという攻撃をする人、迎撃という、攻めてきた相手を捕まえる人がいる。勝敗は、攻めの人が相手の棒の先についている旗を先に取ったチームの勝 ちだ。僕は心棒として働く。
 りん場感のある音楽とともに戦とう開始。しかし、まずは棒倒しではなく、男子は騎馬戦を見ていることになる。激しい戦いが行われている中でどんどん騎馬 をくずし合う。青とは引き分け。次は棒倒しの準備をする。
 「棒倒しは、青対橙です。」
 そうアナウンスが言った。ぼくは、勝つぞ!という気持ちでいっぱいで聞こえてなかった。
 「みーたん、プーチ、絶対に、守りきるぞ!」
 という佑匡の声で我に返り、改めて気合を入れ直した。
 パンと鉄ぽうの音が鳴りひびき各チームの攻めが走りだした。半径八メートルの円を周り、攻めに行く。両チームとも円の中心に棒があり、迎撃はこの円の中 でしか相手の攻めを迎え撃つことができない。
 「クロ、はるや、敵が来たら教えて!」
 ぼくは、大声で叫んだ。
 「OK、今あみに入った。あっ出て来た。来たよ!」
 「せーのー!」
 ぼくらは、力をこめて棒を支え始めた。
 「わー!」
 叫び声が聞こえる。その瞬間ドカッ。だれかが棒に飛び乗った。バン!足袋でぼくのうでに乗ってきた。予行練習の時には、けり飛ばされたけど、今日は本番 だ。ここで飛ばされたら負ける。そう思いバシッ!とふりはらった。その時だ!突然、上から何か降ってきた。頭の上にガン!と当たる。そう、それは、石でも 岩でもなく人だったのだ。ぼくは、痛みにたえた。
 パンパン!鉄ぽうの音が鳴り試合終了。引き分けだ。
 二試合目の白対橙の騎馬戦は勝った。白には棒倒しでは、予行練習の時に負けているので絶対に勝つ。パン!攻めが円の周りを走り攻めに行く。
 「今あみ!」
 迎撃のクロとはるやがほとんど同時に、叫んだ。
 「来た来た!」
 白の場合は、いきなり棒にしがみついてくる。
「わぁー!」
 支えが叫ぶ。棒が傾く。一年生から四年生の橙はあきらめた人が多かっただろう。
 「まだだ!」
 ぼく達心棒が、傾きを直す。また人が降ってくる。でも、ぼくは、乗られたりする痛みを必死にこらえ、勝つという気持ちでいっぱいだった。
 「パンパン!」
 鉄ぽうが鳴るのが早い。両チームの応えん席からかん声が上がる。
 「勝者橙」
 ぼくは、心の底から喜んだ。
 最後は、青対白だ。青が勝つか引き分けなら橙の勝ちだ。激しい攻防が行われている。白が旗を取ろうとしたその時・・・
 「パンパン!」
 引き分けだ。
 そうぼくらは勝ったのだ。城取り合戦で勝つという自分自身の目標を達成したのだ。目標を達成した自分をほこりに思いながら、ぼくはいつもより胸をはりか ん声の中、入退場門に入っていった。

※学年は執筆時のものです。